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読みのアナーキーを超えて

いのちと文学

田中実 著

近代文学研究と国語教育研究の相互乗り入れをめざし、無風と化した混迷のポスト・モダン的文化状況に新風を巻き起こす“新しい作品論と新しい教材価値論”の試み。 エセ〈読みのアナーキー〉を克服した、挑発的な文学・教材研究。

平成9年刊。

ISBN:4-8421-9708-0 C3095
本体 2800円
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目次

【序章】いのちと文学
Ⅰ文学研究と看護学の方法論の根底はひとつ
Ⅱ文学研究としての〈読み〉
Ⅲ〈解釈共同体〉の拘束に抗して《他者》を劈く
Ⅳいのちと文学


【新しい教材価値論のために】

教材の力―『鳥』安井房直子
Ⅰ『高瀬舟』と教師用指導書
Ⅱ『鳥』と教科書
Ⅲ虚構と教材

《他者》へ―『セメント樽の中の手紙』葉山嘉樹
はじめに
Ⅰ文学教育研究と文学研究
Ⅱ二つの文学教育研究に対して
Ⅲ近代文学の抱えるもの
Ⅳ『セメント樽の中の手紙』の抱えるもの
Ⅴ〈読みのアナ-キー〉を超えて

倒壊する〈語り手〉―『蝶々の纏足』山田詠美
はじめに
Ⅰ〈豊かさ〉のなかの文学
Ⅱ『蝶々の纏足』の梗概
Ⅲ倒壊する〈語り手〉
Ⅳ《他者》へ

〈本文〉を探して―『大造爺さんと雁』椋鳩十
Ⅰ問題の発端
Ⅱ作品の構造
Ⅲ「まえがき」の問題と読者の変容
Ⅳ作品の意志
(1)「大造じいさんはずるい」か
(2)〈本文〉とは何か

新しい教材価値論のために―読みのアナ-キーを超える
はじめに
Ⅰ〈 テクスト〉の概念と日本の「造り変える力」
Ⅱインターネットの時代へ
Ⅲ村上文学の「闇に奥」
Ⅳ「批評する」文学教育
Ⅴ腐食の構造
Ⅵ〈教材〉概念と〈テクスト〉概念の二律背反
Ⅶ「テクスト分析」概念から新たな〈作品論〉へ
おわりに


【新しい作品論のために】

〈語り手〉を超えて語られるもの―『春の鳥』国木田独歩
はじめに
Ⅰ〈作家〉の排除
Ⅱ自意識を欠いた〈語り手〉
Ⅲ〈語り手〉を超えて語られるもの
Ⅳ『春の鳥』の〈ことばの仕組み〉

〈語り手〉の抱え込むもの―『抒情歌』川端康成
Ⅰ小説空間の立体性/平面性
Ⅱ因果律に応じた「おとぎばなし」/因果律を断った「おとぎばなし」
Ⅲ生前のままの「あなた」/生まれかわった「あなた」
Ⅳ「私」の解体/「あなた」の排除
Ⅴ〈自己〉へ/おわりに

再読を促す〈語り手〉―『ロマネスク』太宰治
Ⅰ再読という現象
Ⅱ〈ことばの牢獄〉
Ⅲ〈牢獄の変容〉

《他者》という〈神〉―『ヴィヨンの妻』太宰治
Ⅰ大谷の家
Ⅱ自己化作用
Ⅲ《他者》の顕現
Ⅳ〈語り手〉を超えるもの
Ⅴ〈作家〉太宰治が超えようとしたもの
Ⅵもう一度

新しい作品論のために―小説の読み方・読まれ方
Ⅰ〈語り手〉と〈語り手〉を超えるもの
Ⅱ読み方・読まれ方
Ⅲ『城の崎にて』の作品論
(1)動かない時間
(2)〈末期の目〉
(3)削除の問題から再び〈末期の目〉
(4)批評する〈語り手〉と主人公と一体化した〈語り手〉
Ⅳ『地獄変』の〈末期の目〉
Ⅴ克服される〈語り手〉
Ⅵ芥川の方法対志賀直哉の方法
Ⅶ〈本文〉の虚妄
(1)新しい〈作品〉概念へ
(2)「正解主義」と「正解主義批判」の双方を超えて


【いのちのために】

腎結石の痛さ―『沈黙』遠藤周作
光のない暗―『深い河』遠藤周作と『歯車』芥川龍之介
概念としての《他者》―『雪国』
《他力》信仰―『出家とその弟子』
カクレキリシタンがいた―『舞姫』と『風の歌を聴け』


【終章】

夢の読者共同体を求めて
Ⅰ近代文学研究と国語教育研究の相互乗り入れと言う前に
Ⅱ〈読み〉のために
(1)近代文学研究と国語教育研究
(2)〈読者共同体〉への夢

あとがきに代えて
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