書肆アクセスという本屋があった
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書評
「朝日新聞」2008年2月17日付け
ふらりと立ち寄る本屋さんのように 評・重松清(作家)
書肆アクセスとは、編者の一人・岡崎武志さんの言葉を借りれば<大手の新刊書店ではなかなか目に触れない、地方や小出版社の本、そして多くのミニコミを扱ってきた>書店である。
出版の東京一極集中が進むなか<地方からの微力な電波を受け止め、発信する役目>を負い、<十坪という狭い空間に約六千七百点もの本や雑誌たちの主張や心意気が充満していた>。 「朝日新聞」2008年2月13日付け夕刊 ニッポン 人・脈・記 わが町で本を出す(13) こんな時代こそヤセ我慢
古本の町として知られる東京・神田神保町。昨年11月17日、小さな書店が31年の歴史を閉じた。 「産経新聞」2008年2月3日付け 東京・神田神保町で、地方や小出版の本を扱う書店として親しまれ、昨年11月に閉店した「書肆アクセス」に縁のある出版社の編集者、同業書店員ら80人以上が閉店を惜しんで文章を寄せた『書肆アクセスという本屋があった』(右文書院)が版を重ねている。 書肆アクセスは、地方出版社や少部数出版の専門取次である地方・小出版流通センターのアンテナショップとして昭和51年に開店、56年に神保町に移転した。大手取次では扱いにくく、 一般書店では手に入らない本が入手できる書店として知る人ぞ知る存在だった。 「ミニコミ誌や無明舎出版(秋田)や南方新社(鹿児島)など地方出版社の本を専門に扱う店は東京ではここだけだった」と右文書院の青柳隆雄さん。 昨年、閉店を知った客の有志7人が基金を作り募金を呼びかけ、集まった資金で本書を制作し、昨年暮れに刊行。現在は2刷が書店に並ぶ。同店の機能は縮小され、 三省堂書店神保町本店の地方出版・小出版物コーナーに引き継がれている。 「週刊朝日」2008年2月1日号(土屋敦氏) 「小さな書店の大きな喪失」 昨年十一月、神保町にある小さな書店・書肆アクセスが閉店した。わずか十坪の空間にミニコミ誌、全国各地の地方出版社の個性的な本がぎっしりと並べられ、地方から発信されたエネルギーに満ち溢れたリアルな活字文化の小宇宙とでもいうべき店だった。 そんな貴重な場所の閉鎖に際し、関係者が思いを綴ったのが本書だ。伝説的な地方出版社である無明舎、南方新社、弦書房の代表や、「酒とつまみ」「中南米マガジン」「sumus」、沖縄の「ワンダー」に北海道の「なまら蝦夷」、老舗「谷根千」などのリトルマガジンの編集者らが寄稿している。それだけで、好きな人にはたまらないだろう。 本書を読めば、書肆アクセスというごく小さな書店の喪失によって、日本の出版界が一変してしまったことがわかるはずだ。多様で、豊饒で、雑多な活字文化のエネルギーをこれ以上に失わないために、われわれは何をすべきなのか、深く考えさせられる本である。 「出版ニュース」2008年1月下旬号 本の街・神田神保町にあって地方出版社や小出版社の本を提供してきた「書肆アクセス」は昨年11月に、業績の不振から閉店を余儀なくされた。アクセス閉店を惜しむ人たちの手により『書肆アクセスという本屋があった――神保町すずらん通り1976-2007』(B6判・235頁・1143円+税・岡崎武志/柴田信/安倍甲編)が刊行された。 書肆アクセスは、取次の地方・小出版流通センターの直営店として1976年、「展示センター」の名称で営業をはじめる。80年に「書肆アクセス」と名称を改め、センター契約外の出版社の刊行物も仕入れる「独自仕入システム」=「書肆アクセス仕入」を開始。翌81年に神保町のすずらん通りに移転し営業を続けた。 本書は、地方出版・小出版の発行者、同業の書店員や古書店員、常連の読者や著者、それにアクセスに関わった従業員ら80人が、思い出や惜別の声を寄せる。 地方出版の雄、無明舎出版(秋田市)の安倍甲氏は、アクセスは無明舎の東京支店のような扱いであったと言う。〈「アクセス」は私にとって東京での待ち合わせ場所であり、出会いのサロンであり、出張中の緊急連絡先兼荷物置き場だった……〉。 南陀楼綾繁氏は00年4月から05年4月まで、ほぼ5年間に書肆アクセスから買った本のリストをあげる。合計244冊、アクセスは、あるテーマや著者に興味を持ったとき、何らかのヒントになる本が見つかる店であった。そして〈このリストによるすべてを包み込んでいた小宇宙は、もうどこにも存在しない〉と述べる。 巻末に「「書肆アクセス」関連年表」、関連の「主要文献目録」が付く。 書肆アクセスの日常については店長であった畠中理恵子さんらによる『神保町「書肆アクセス」半畳日記』(無明舎出版・02年)がある。 書肆アクセスの機能は縮小されてはいるが、同じ神保町の三省堂書店の4階、「地方出版社・小出版社」コーナーに受け継がれている。 |
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東京堂書店 週間売上1位を記録! (12月11日調べ)
三省堂書店 神保町本店
ノンフィクション部門にて売上げ第10位を記録!