記憶の帝国〈終わった時代〉の古典論前田雅之 著古典的な共同の記憶を喪失して近代日本が始まったと考えれば、それは、古典のみならず日本を考える際にも重要な切り口となるはずだからである。 さらに、要約に代表される近代の合理的・論証的・分析的・構築的(脱構築的)思考を相対化する論拠に記憶・連想を置いて、古典自前の思想を構想できたら、と取らぬ狸を夢見てみたいのだ。
A5上製カバー360p
ISBN978-4-8421-0036-4 C3095 本体 3,800円 |
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目次
Ⅰ 古典と倫理 1、古典を読むことと倫理 2、古典・倫理・〈日本〉 Ⅱ 古典と権力 1、院政期の政治神学 2、正統的権力が生み出す余剰物―天皇を囲遶する御持僧と后 3、憧憬と肯定の迫で―『古今著聞集』における京と後嵯峨院政 Ⅲ 古典と言説 1、記憶の帝国 2、《事実として》とリアリティーの間 3、憎ミ咲フ光景 4、「ひとり」という形式 Ⅳ 古典と信仰 1、慶滋保胤と勧学会―信仰が一線を超える時 2、讃岐典侍―不信心を支えるもの 3、『今昔物語集』―法悦なき信仰 |