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日本語の形容詞たち

中村幸弘 著

 

90種類のアプローチ方法で、日本語の形容詞に斬り込み、様々な角度から形容詞の持っている可能性を引き出している。

四六判並製本カバー・240ページ

ISBN978-4-8421-0817-9 C0092
定価:1,980円 (10%税込)

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<目 次>
 まえがき   
日本語の品詞認識の手順
1 「い。」で言い切られる用言で、ほぼ六百単語の和語
  ――「暑い」「長い」「美しい」「嬉しい」など
2 語尾「い」「しい」の別とその意味の別と
  ――物理の形容詞と心理の形容詞と
3 属性を表現する形容詞と情意を表現する形容詞と
  ――古代語から見られた傾向
4 現代語の属性表現形容詞と情意表現形容詞と
  ――属性は古く、情意には新しい単語も
5 主観的表現形容詞と客観的表現形容詞と
  ――主観客観総合的表現の形容詞も
6 主観的客観的両用表現形容詞
  ――「恐い」「寂しい」「すごい」など
7 対義語が相互に存在する形容詞
  ――物理的な物象にはおのずから見えてくる関係
8 形容詞としての対義語が存在しない形容詞
  ――「無い」「若い」「貧しい」など
9 世間で通俗的にいっている形容詞という呼称
  ――印欧語からの影響
10 接尾語「がる」を付けて動詞化できる形容詞
   ――「嬉しがる」「悲しがる」など
11 畳語型形容詞はすべてがシク活用系情意形容詞
   ――「ABABしい」型形容詞
12 「私は母が恋しい。」の主語と対象語と
   ――「象は鼻が長い。」の総主語と主語とは違う
13 「色」について表現する形容詞たち
   ――四色形容詞「青い」「赤い」「白い」「黒い」の歴史的背景
14 多様な色について表現する形容詞
   ――気づいた色を新しい形容詞として造語
15 味について表現する形容詞
   ――甘・酸・苦・鹹(四味)形容詞の歴史
16 味について表現する派生形容詞と複合形容詞と
   ――「甘酸っぱい」「塩辛い」など
17 臭いや匂いについて表現する形容詞
   ――「臭い」が多く、時に「こうばしい」も
18 多様な「臭い」について表現する複合形容詞など
   ――「臭い」「くさい」を下接させて造語
19 味の良し悪しや咽喉への刺激を表現する形容詞
   ――「うまい」「まずい」「おいしい」/「えぐい」「えがらっぽい」など
20 限度を越えた騒音について表現する形容詞
   ――「うるさい」「騒がしい」「かしましい」など
21 度量衡の概略を表現する形容詞
   ――長さ・広さ・深さ・重さなどをいう形容詞
22 度量衡関連の概略を表現する形容詞や複合形容詞
   ――「大きい」「小さい」/「小高い」「だだっ広い」など
23 身体が感じる感覚について表現する形容詞
   ――「暑い」「暖かい」「涼しい」「寒い」「冷たい」など
24 対象に心が惹かれてならない感情をいう形容詞
   ――「恋しい」と「懐かしい」と
25 期待どおりでないことに残念がる感情をいう形容詞
   ――「悔しい」と「口惜しい」と
26 満足できる状況にあって心弾む感情をいう形容詞
   ――「嬉しい」「楽しい」など
27 数量等の同等関係をいう形容詞と上接格助詞
   ――「と等しい」と「と同じ」と
28 滑稽さや、異常さや怪訝さについてもいう形容詞
   ――「おかしい」と、消えた『枕草子』の「をかし」と
29 新鮮な価値をいう形容詞と祝意表明の形容詞と
   ――「珍しい」と「めでたい」と
30 危険性に気づいたときの心象についていう形容詞
   ――「危ない」と「危うい」と
31 固体・液体・気体から捉えた心象をいう形容詞
   ――「太い」「堅い」など/「熱い」「ぬるい」「冷たい」/「暑い」「寒い」など
32 空間に存在する位置や地形や堆積をいう形容詞
   ――「遠い」「高い」など/「険しい」/「小高い」「うず高い」
33 時間の位置づけと推移の度合いとをいう形容詞
   ――「早い」「遅い」と「速い」「遅い」と
34 程度の極端さや際立っている情況をいう形容詞
   ――「甚だしい」と「著しい」と
35 恐怖や残酷さなどの極端さをいう形容詞
   ――「恐ろしい」と「ひどい」と
36 物事の程度が並外れて顕著である情況をいう形容詞
   ――「すごい」「ものすごい」「すさまじい」など
37 対人関係での接し方や振る舞いなどをいう形容詞
   ――「やさしい」「おとなしい」「きびしい」「きつい」など
38 幼児に感じられる可憐な心象をいう形容詞
   ――「愛くるしい」「愛らしい」「可愛い」「可愛らしい」など
39 女性の不適切な振る舞いを非難していう形容詞
   ――「あられもない」、併せて「みっともない」も
40 主観的表現にも客観的表現にもなりうる形容詞
   ――「こわい」の主観的表現の用例/「さびしい」の客観的表現の用例
41 「ない」が語末となっている形容詞の四群の別
   ――述語の「無い」/打消の「ない」/補助形容詞の「ない」/接尾語の「甚い」
42 述語形容詞が主語と結びついて成立した形容詞
   ――「情け無い」、「頼り無い」、「味気無い」、「止んごと無い」、「如才無い」など
43 補助形容詞「ない」を用いることで成立した形容詞
   ――「お呼びでない」「気が気でない」「何でもない」「碌でもない」
44 動詞の未然形に打消「ない」が付いて成立した形容詞
   ――「詰まらない」「煮えきらない」「憎めない」「底知れない」「どうにもならない」など
45 甚だしい意の接尾語「ない」が付いて成立した形容詞
   ――「切ない」などの「ない(甚い)」/長く疑問に思われていながら事情不明
46 温冷表現を人間の性情描写に活かした形容詞
   ――「あたたかい」「つめたい」と
47 舌の痺れをいう表現を生活の場に転用した形容詞
   ――日々用いる「渋い」の転義用法
48 甘・辛の味の表現を生活の場に転用した形容詞
   ――「あまい」と「からい」と
49 味の表現で手際の良し悪しをいった形容詞
   ――「うまい」と「まずい」と
50 舌の不快感の表現で心理を述べる形容詞
   ――日々用いる「苦い」の転義用法
51 食品のあくで咽喉が受ける刺激をいう形容詞
   ――「えぐい」「えがらっぽい」など
52 強い光でまともに見られない状態をいう形容詞
   ――「まばゆい」「まぶしい」など
53 五色めの形容詞と「丸い」に対応する形容詞と
   ――「黄色い」と「四角い」と
54 接尾語「くさい」を付けることで成立した形容詞
   ――「磯臭い」「黴臭い」「焦げ臭い」「吝嗇くさい」「水くさい」「胡散くさい」など
55 接尾語「がたい」が付いて定着して成立した形容詞
   ――「得がたい」「耐えがたい」「度しがたい」「ありがたい」/補助形容詞という扱い方も
56 接尾語「っぽい」を付けることによって成立した形容詞
   ――「水っぽい」「子どもっぽい」「理屈っぽい」「飽きっぽい」など
57 接尾語「たい」が付いて成立している形容詞
   ――「うしろめたい」「煙たい」「眠たい」、「平べったい」「野暮ったい」も
58 接尾語「らしい」「めかしい」で構成されている形容詞
   ――「男らしい」の「らしい」、「古めかしい」の「めかしい」
59 接尾語「らしい」が付いて一単語化している形容詞
   ――「阿呆らしい」「嫌らしい」「意地らしい」など
60 接尾語「がましい」で、その感じを表す形容詞
   ――「烏滸がましい」「恩着せがましい」、そして「晴れがましい」など
61 接尾語「たらしい」で、嫌な感じを表す形容詞
   ――「長たらしい」「酷たらしい」「貧乏たらしい」など
62 語末が「めかしい」「めしい」となっている形容詞
   ――「めかしい」は接尾語/「恨めしい」は、たまたまそうなったもの
63 「濃い」か接尾語か、語末が「っこい」の形容詞
   ――「脂っこい」と「狭っこい」など
64 接尾語「にくい」「づらい」が付いた形容詞
   ――「言いにくい」「聞きにくい」「言いづらい」「聞きづらい」と
65 騒音に不快感を訴えて生み出された形容詞
   ――「煩い」「騒がしい」「騒々しい」「囂しい」「喧しい」など
66 接頭語「小」を冠して、別の語義を派生した形容詞
   ――「小高い」「小狡い」「小憎らしい」など
67 接頭語「もの」を冠して、雰囲気を変えた形容詞
   ――「物狂おしい」「物悲しい」「物寂しい」など
68 語頭が名詞「口」「目」になっている形容詞
   ――「口うるさい」の「口」は表現の意、「口寂しい」の「口」は食べたい意/「目ぼしい」は「目ぼしい」から
69 古典語四段活用動詞未然形が語幹となった形容詞
   ――「望ましい」の「望ま」/「ゆかしい」の「行か」/「ふさわしい」の「適は」は、四段活用未然形
70 動詞との関連が見えてくるだけの形容詞
   ――「慌つ」と「慌ただしい」、「目覚む」と「目覚ましい」など
71 上接格助詞に支配されている形容詞
   ――「に近い」「と親しい」「より安い」など
72 敬語接頭語「お」を冠して定着した形容詞
   ――「おいしい」の「お」/「お寒い財政」「お高くとまる」など
73 優れていて賞賛に値すると褒めていう形容詞
   ――「偉い」と「素晴らしい」 とは、どこで類義語となるのか
74 名詞を重ねて印象を表現する畳語形容詞
   ――「神々しい」「事々しい」「物々しい」など
75 動詞・形容動詞の一部を重ねた畳語形容詞
   ――「くだくだしい」「たどたどしい」/「派手々々しい」など
76 出自や由来などが特定できない畳語形容詞
   ――「仰々しい」「清々しい」「生々しい」「ふてぶてしい」「白々しい」など
77 語幹を同じくする形容動詞でもある形容詞
   ――「暖かだ」と「暖かい」と/「欲深だ」と「欲深い」と
78 語末が「ない」で、上部の意味が見えない形容詞
   ――「呆気ない」「あどけない」「いとけない」「えげつない」「ぎこちない」など
79 二字漢語で始まり意味の理解しにくい形容詞
   ――「胡散くさい」「頑是ない」「如才ない」など
80 ク活用系からシク活用系になった形容詞
   ――「待ち遠い」から「待ち遠しい」へ
81 「かぐはし」の意味と語形とが変化した形容詞
   ――「かんばしい」と「こうばしい」と
82 語頭二音節部分の理解が難しい形容詞
   ――「甲高い」「切ない」「埒もない」「碌でもない」「きめ細かい」「しがない」「そつがない」など
83 濁音から始まり、俗語性が感じられる形容詞
   ――「ごつい」「ずるい」「ださい」「だるい」「でかい」など
84 語末が「どい」となる、強烈さを表す形容詞
   ――「くどい」「ひどい」「あくどい」「きわどい」「しんどい」「すすどい」「するどい」など
85 カタカナ外来語を誘い込んだ形容詞
   ――「バタくさい」「ナウい」「エモい」
86 「明るい」と「暗い」とが性情などをいう形容詞と認識された日
   ――石坂洋次郎『青い山脈』の主題歌から
87 人物を評価する形容詞「かたい」が担う好悪の二面
   ――「堅い人間」と「頭の固い親父」と
88 容易さをいう、伝統形容詞と俗語形容詞と
   ――「たやすい」と「ちょろい」と
89 語頭濁音形容詞「だるい」の成立と、その周辺
   ――「かったるい」と「けだるい」と、そして、「甘ったるい」と
90 尊卑・貴賤の対義関係を表す形容詞二語
   ――「とうとい」「たっとい」と「いやしい」と
91 連語として取り扱われている「忍びない」の成立
   ――上二段活用動詞「忍ぶ」の未然形に打消の助動詞「ず」が付いた「忍びず」の「ず」が「ない」になったもの
92 形容詞「新しい」と形容動詞「新ただ」との関係
   ――古典語形容詞「新たし」/現代語形容詞「新しい」
93 ク活用系一音節語幹形容詞の様態の助動詞「そうだ」への接続
   ――「なさそうだ」「よさそうだ」/「降らなそうだ」「降らなさそうだ」
94 慣用句の「ばつが悪い」と「間が悪い」との共通点と相違点と
   ――「ばつ」と「間」との、違いはどこに
95 「少ない」と「乏しい」との語義の相違と格支配の相違と
   ――「に乏しい」に注目
96 ク活用系形容詞語幹に「苦しい」が付いて成立した複合形容詞
   ――「暑苦しい」「重苦しい」「堅苦しい」「狭苦しい」「むさくるしい」
97 「すばやい」と「てばやい」との共通点と相違点となど
   ――「手早い」の語義、なお不明
98 空腹を訴える「ひもじい」の成立と、現代の用法
   ――女性は「ひもじい」、男性は「ひだるい」の時代も
99 「やばい」の成立と普及と、その現状と
   ――感覚と言語との関係破壊/意味拡張を続けて止まることを知らない暴君
100 語末が「じい」となるシク活用系形容詞
    ――「すさまじい」「ひもじい」「むつまじい」
101 〈名詞+ク活用系形容詞語幹+だ〉型形容動詞
    ――「気軽だ」「足早だ」など、大量の該当用例
102 形容詞語幹を用いたマ行下一段活用動詞
    ――「高める」「広める」「深める」/「苦しめる」など
103 シク活用系形容詞古典語終止形に「の」を付けた連体修飾語
    ――「懐かしのメロディー」の「懐かしの」/「麗しのメッチェン」の「麗しの」など
104 形容詞の丁寧表現二形式
    ――「お早うございます」と「嬉しいです」と
105 形容詞の尊敬表現の発生と現在
    ――「お美しい」の「お」/「お美しくていらっしゃる」と「お美しくいらっしゃる」と
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