林屋晴三氏 東京国立博物館名誉館員 西行法師が愛し、藤原定家が詠み、芭蕉が句にした桜は、いつしか群生してしまった「ソメイヨシノ」の陰となって、一部の識者以外話題にされることなく、各地でひっそりと静かに咲きつづけていた――それらを一本一本訪ね、滅び行く桜たちの記録を残したいと切望したのがこの本となった。